地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】
「·····たん、じょ·····うびは·····
ワタシ、に、とっての、たん、じょうびは、ジゴク·····みたいなものなの。」
桃子が喋り出した。
もうずいぶん話していなかったのか、いや、人前で喋るのは初めてだろう。
少し不安定な喋り方でこれまでされてきた事、その思いを初めて言葉にする。
「まいとしまいとし、たんじょうびが来るたびにいつもイジョウに·····暴言を吐かれる。
アンタなんか·····生まれて、こなけければよかった·····アンタなんか·····産むんじゃなかった·····って。
水の溜まったオフロに、頭をおさえられて·····息ができなくて、苦しくて、溺れ·····かける。
それがトシの数だけ続く。
まいとし毎年、·····お前のせいだ、あんた“が”死ねばよかったのに、お前のせいだって·····
ナンドモ、何度も·····誕生日なんか大嫌いッ!!」