地獄から救ってくれたのは極道の人達でした。【長編】
それに、外の音もお昼が一番いい。
朝になると、子供達の声が聞こえる。
学校に登校中であろう子供達の、賑やかな声が。
「今日の給食なんだろーなー」
「お前いっつもそればっかだな」
「ちょっと男子!止まらないでよ!」
などといつも外は騒がしい。
夕方になると、今度は下校中の子供達の声がする。
「今日の宿題なんだっけ?」
「漢字ドリルと、計算ドリル2ページずつでしょ」
「マジかよ」
「おっ、たかし!帰ったらゲームしようぜ!」
「おうっ!やろーぜ!」
「ちょっと宿題は?」
「後でー」
家の中が静かなだけあって外の音がよく聞こえる。聞きたくなくても。
みんなは楽しそうだな、と思っているのか、羨ましいな、と思っているのか。
お昼の時間は朝と昼に比べたら静かだ。
女の子はいつも一人、外の音を聞いていた。
それがもう、女の子にとっての日常。
女の子にとっての当たり前の日々だった──。