キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
「え…っ」

「嘘じゃ…ないですよ……?」

なんで……っ、なんで…

閉じかけた瞳がそっ、と優しく私に微笑みかける。

なんでそんな顔するの…っ、

だって…っ、だってこれは…っ

ーー勘違いしないで下さい? 先輩は僕にとってただの‪”‬遊び‪”‬です

「‪”‬遊び‪”‬なんじゃないの…っ!? なんで……っ」

「遊びが……、途中から本気になったら…、いけませんか…?」

「…っ、そんな…っ、」

言葉が上手く出てこない。

だって、本気……だなんて………

「振り向いて…欲しかった……。先輩​────」

やだ……っ、そんな……っ、、

どこか悲しげにニコッ、と笑った葵くんがゆっくりと私の頬に手を伸ばす。

「……………………………大好き…、です」

その言葉のすぐ後。

葵くんの手が徐々に力を無くし、重力のまま地面に落下した。

「嫌……っ、葵くんっっ…!!葵くんってば……!!」

ゆっくりと閉じていこうとする瞼に何度も「待って!」と訴えかける。

自分だけ……っ、言いたいこと言ってずるい…っ、ずるいよ……っ、

いつもそっちだけずるい…っ。
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