キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
その声に顔を上げると拗ねてるみたいに頭をかいてそっぽを向く葵くんがいた。

え…………………っ、

「葵…くん、顔……っ、なんでそんな赤いの……」

もうすっかり辺りは暗くって、いつもの間にかマンションの明かりが灯っていた。

その光に照らされた葵くんの横顔が明らかに赤面している。

「うっ、うるせぇ! こっち見んな…!」

しかし葵くんの頬に手を伸ばした矢先、その手は荒々しい声と共に振り払われてしまった。

すぐにバツが悪そうな顔つきになる。

どうしたんだろ……。なんか様子が…

「これはその……っ、あれだよ…っ、若年性更年期障害だよ…!」

首の後ろに手を当てたまま、葵くんがなんだかヤケクソに叫ぶ。

「えっ…、じゃっ、若年性…っ?」

何、言ってんの……

「体が暑い、ってこと……? やっぱり…っ、、ナイフが当たっちゃったんじゃ​────」

「ちっ、ちげぇし……!」

「でも暑いんでしょ……っ!?」

本人強がってるみたいだけど本当はどっか痛いんじゃ……っ

そうだよ!

葵くんって基本的に嘘臭いっていうか強がりっていうか…、だから心配だ。

今だってきっと私になんか隠してるはず…。

「服めくってもいい……!?」

「はっ、はぁ!? やめ────」
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