キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
しかも学校ではアイドル級に騒がれている男ですよ?

首席合格ですよ?

ちょっと反応薄くないですか?

ここで僕の中でカチッ、とスイッチが入った。

プライドが許さなかった。

…制裁を与える。

この僕を前にして目をハートにしない女には罰を与えなければ気が済まない。

僕には切り札がある。

ほいほいブラ丸出しで玄関先にやってきた本人は相当焦っている様子だったが、弱みを1つ手に入れることが出来た。

これを餌に僕は彼女にある提案をした。

「代わりに先輩、僕に落ちませんか?」

落としてやる。

僕という沼に溺れて溺れて抜け出せなくなるまで沈めてやる。

僕からのアプローチはレアですよ。

嬉しくて嬉しくて飛び跳ねちゃうでしょ?

そんなことを思いながら放った言葉だったのに、この女……、顔を引き攣らせた。

この僕を侮辱した。

目に涙を浮かべ懇願するように僕へ交際を申し込む女もいるぐらいなのに。

金を出して‪”‬私と遊んで‪”‬、と頼み込んでくる女もいるぐらいなのに。

……なんだ?

この口には出さすとも伝わってくる嫌悪感は……。

まぁいいや。

どうせすぐ僕に落ちるし。

僕に恋しない、なんて、

100年…いや。1億年早いですよ? 先輩。

それにしてもちょうどいいタイミングだな。

ラッキーでしたね。

僕、最近刺激が足りなくて退屈してたんですよ。

だってその辺の女、ちょっと迫ったらすぐ僕に溺れるんです。

それこそ我を忘れちゃうぐらい。

だからしばらく遊んであげますよ。

まぁ、好きになられたら、捨てちゃいますけど。

でも僕に捨てられるなんて光栄に思って下さい。

あぁー…。「行っちゃやだ」と、泣いて僕に縋る未来のあなたの姿が、鮮明に浮かぶなぁ。


じっくり落として差し上げますね。
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