キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
「そうなんですか。素晴らしいセンスですね」
「どこがよ!」
心の中で爆笑しているに違いない……!
あぁ、もう私のバカー!
せめてもの抵抗として目をキュッ、とめいいっぱい細め、葵くんを睨みつけるが……
「そんなに見られたら恥ずかしいなぁ……」
なんて言って頭の後ろに手を置かれてしまった。
「…っ」
こんなせめてもの抵抗すら跳ね返されてしまった気になり、今度は口を膨らませた。
しかし……
ーーぷにっ…
「ちょっ……」
「すみません。可愛くてつい」
今度は膨れ上がった頬をなんの悪びれもせず触ってきた。
驚いて後ずさりするけど今度は……
「危ない……っ」
「えっ?────きゃっ…」
今度は葵くんに手を引かれ、気がつけば葵くんの腕の中だった。
後ずさりしたところにちょうど自転車が横切り接触しないようにしてくれたらしい。
「大丈夫ですか?」
抵抗する間もなく葵くんの腕の中に封じ込められたのはなんか悔しいけど守ってくれたのは事実……。
「うん……、ありがと…」
スっ、と身をかがめ葵くんの腕から脱出する。