キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
なんじゃこれ。

ただの一般人なのになんでこんなにも人だかりが……。

そんなことを疑問に思っていると、人混みに押されながら千紗がコソッ、と耳打ちしてきた。

「葵くん、結構女の子取っかえ引っ変えしてるんだってー、今朝とか路地裏でディープキスしてたの見たって子がいてー、まじやばいよねー」

「え!?朝から路地裏でディッ……」

無理! キモイんですけど!?やだ!

朝っぱらからなんてハレンチな……!

「はぁ!? なんでそんな最低クズ野郎にこんな人だかりができるわけ!?」

「クズはクズでもさー? みんなイケメンのクズなら許せるんだよー」

「え、どういうこと……!? 全く理解できないんですけど!?」

「だからさー、‪”‬沼りたい‪”‬ ってことなんだよきっと」

「沼りたい? ハマるってこと?」

「そう。本命になれなくても、遊びでもいいからそばに居たいー、的な? どんどん沼にハマってくの。イケメンクズ男の特権だね」

「うえぇー…」

意味わかんないー…。

「まぁ、中にはガチ恋勢もいるとは思うけどね! うわー!入学式の時ちゃんと見れなかったけど、やっぱちょーかっこいい!」

やがて千紗も葵、とかいう超絶人気の男を見ることが出来たのか満足そうな声を上げた。

「え、千紗もその…葵くん? に沼りたい、とか思うの?」
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