キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
ただの遊びの女に、こんな情熱的にキスして…、おかしい…おかしいよ……。

遊び道具の1つであることが悔しい。

なんか…嫌……。

キスから逃れるように首を横に背け、口を開く。

「なんで…っ、なんでそんな…ただの遊びで好きでもない女とキス出来る訳……っ!?」

意味わかんない……っ、理解できない……っ

顎先にそっと葵くんの手が触れ、無理矢理正面を向かされる。

持ち上げられた顎先にクイッ、と力が加わり、耳元に近ずけられた唇から余裕そうな声が囁かれた。

「ふにゃふにゃしてて可愛いですね。……好きですよ? 僕。先輩のこと」

「……っ、」

やめて……。

どうせ嘘でしょ…?

みんなに言ってるんでしょ……?

なにこれ、何この気持ち…。

もう……、もうやだ……。

これじゃまるで、嫉妬してるみたいだ。

いつの間にかはだけた胸元をギュッ、と握りながら葵くんの腕の中を潜り抜け、なんとかベッドから降りた。
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