キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
ちょうどお腹が空いてきた頃だったので、戸棚に大量に買いだめしてあるカップラーメンを1つ手に取った。

1年前の高校入学時に、私の両親はそろって仕事の都合で海外に転勤。

その際、ついて行くか、と聞かれたけれど日本に残ることを選んだ私はそれを機に、この2階建ての小さなアパートで1人暮らしを始めた。

最初は少し寂しかったけれど、蓋を開ければ割とパラダイスで今となってはもうすっかり慣れてしまった。

1人暮らしのおかげもあってかこれまで料理の才は皆無だったけど割とラインナップも増え、気が向いた時なんかは色々作るようにしている。

でも今日は春休み明けの学校で疲れたからカップラーメンに頼る。

お湯を注ぎ、3分が経過するまでに部屋着に着替えてしまおう、と胸元のリボンに手を伸ばす。

ぐぅー、と悲鳴をあげるお腹辺りのボタンも着々と外して​─────と、その時だ。

ーーピンポーン

お腹の音に紛れ部屋中にチャイムの音が響き渡った。

あれ? なんか頼んだっけ…?

めんどくさいから常日頃から欲しいものはネットでバシバシ頼んでしまう私。少し考えてみるけれど最近買ったものは皆目見当もつかなかった。

ガチャ、っと玄関ドアを開ける。

そこに立っていたのは1人の青年だった。
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