キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
「もうやめてよ…! そうやってからかうの!!」
服の袖で唇を拭いながらたまらず、その場から逃げ出した。
外に出て、夜風に吹かれて高まった気持ちを落ち着かせる。
「はぁっ…、はぁっ……」
もうっ!ほんっと、なんなのよあいつ!
今度という今度は許さないんだから。
もう絶対あいつの言いなりにはならない!
落ちてたまるか……っ
いつの間にかハマってしまった泥沼から這い上がるように乱れた服装を治す。
あんな奴は私の人生にいなかった!
そう結論づけ、乱雑に道を歩いていた時。
ポケットに入れていたスマホが鳴った。
ーーブーブー…
「もしもし!?」
電話相手は千紗だった。
先程の出来事のせいで少々荒々しい出方になってしまったかもしれない。
あぁぁぁぁ!あの男!ほんっとムカつく…!
「もしもーし、あっ、玲乃ー? 合コン始まってるよー?まだー?」
そうだ!そういえば今日、合コン誘われてたんだった!
「ごめん! 今向かってるとこ!」
「そっか! じゃあ待ってるね!」
「うん!」