キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
「んー…、まぁ…はい。正直に言ってしまえば、そんなとこですね」

ほんっとに、ほんっとにクズ……!!

「……決めた」

「?」

「私…、あんたなんかには絶対落ちないから……!」

どれだけ優しくされたって…

ほんの一瞬、ヒーローに見えてしまったからって…

私だけは絶対に落ちない……!

たとえ世界中の女の子が全員落ちたとしても!

そんな私の宣戦布告のような宣言に葵くんはクスクスと小悪魔のような笑みを浮かべた。

「そそられます」

「そっ、そそらないで……! ちょっと顔がいいからって!調子に乗らないでよね!?」

「ん? ‪”‬ちょっと‪”‬どころじゃなくないですか?」

「あぁ、もう! 降りる! ほんっとにもう歩けるから…!」

1秒でもこの男の腕の中にいたらダメだ……!

自力でゴロン、と体の向きを変え地面に着地する。

「きゃっ……」

でもすかさずバランスを崩して倒れそうになってしまった。

で。

……1秒後にはまた葵くんの腕の中。

「大丈夫ですか?」

もうっ…!! 私のドジ! アホ! マヌケー!
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