キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
「え?」

突然食らった質問に肩がピクリ、と跳ねる。

まるで色々と知っているような口調だ。

と思っていたら、コソッ、と耳打ちされた。

「あ、俺は知ってますから大丈夫っすよ」

知ってる……? え……?

あ! まさかあいつ……!!!

「も、も、もしかして……パンダのことも!?」

恐る恐る尋ねてみる。

しかしキョトンとされただけだった。

「ぱんだ? え? なになに、なんのことっす?」

逆にパンダなんてキーワードを出してしまったことで興味を持たれてしまった。

良かった……。

葵くんのことなら友達に面白がって話したりしてるんじゃないか、と一瞬疑ったけどあいつにも一応は人の血が流れていたようだ。

「なんでもない、なんでもない!」

全力で誤魔化し、追求されないうちに、私も涼太くんにコソッ、と尋ねた。

「え、逆に涼太くんは何を知ってるの?」

「あいつがヤベェ奴ってことっすよ」

「あぁ、そっち……」

「そっちじゃない方に何かあるんすか?」

「いや!? ないよ!?」

変なことを口走らないように気をつけないと。

墓穴を掘ることだけはしたくない。

「あいつ、スイッチ入ると結構ヤバくないすか? だから大丈夫かなーって」

「あぁ……」
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