キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
炎天下で回る動物園は多分すごく暑いだろうしなるべく薄着で行きたい。

手に取った洋服はガッツリ肩が出ている花柄のオフショルダー。

だいぶ首周りが空くから、ここにお気に入りのネックレスを付ければ完璧!

あとはロングのスカートで、去年の夏気に入って買ったはいいものの、1度も履いていなかった厚底のサンダルを履いていくことにした。

財布とスマホがピッタリ収まった小さめカバンを手に持って全身鏡の前でくるりと回ってみる。

その動作に合わせて緩く巻いた肩上までの髪がふわり、と揺れ動く。

これで完璧……!

なんて思っていたのもつかの間……

「そんな露出の多い服でどこに行くんですか?」

げっ……見つかった…。

「どっ、どこでもいいでしょ」

外に出た瞬間、葵くんに鉢合わせてしまった。

どうやら向こうもどこへ出掛けるらしく私服だ。

薄手の黒いジャケットを羽織ったシンプルな格好なのに、華があるように感じてしまうのはやっぱりそのルックスのおかげだろう。

悔しいけど、これでサングラスとかしたら完全に芸能人を疑ってしまうレベル……。

と、その時。

階段をタンッ、タンッ、と軽やかに駆け上がる音が聞こえてきた。
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