キミの正体 ~実は独占したがり超絶オオカミでした~
「わー! やっと会えたぁー! 元気にしてた!? ちょっと痩せたんじゃない?」

直後、綺麗な女の人が私の横を通って葵くんに抱きついた。

「!?」

小柄で華奢な可愛いらしい人だ。

「ちゅーぅ!」

しかも女性は葵くんの頬をムギュっ、と掴んでキスをしていた。

「!?」

前、私が見た女の子と違う……!

「いきなりやめて下さい」

葵くんも葵くんで特に抵抗することなく満更でもなさそうに微笑むだけ。

……………………………………なにあれ。

「中入っていい?」

「どうぞ」

そしてそのまま2人は吸い込まれるように葵くんの部屋に入っていってしまった。

***

なにあれ…。

なにあれなにあれ〜〜〜〜っっっ…!!

その後はなぜかモヤモヤする気持ちを抱えたまま千紗と駅前で合流し、電車に揺られながら動物園に向かっていた。

「あっ、ゴリラ見たいなー、玲乃は何見たいー?」

…………今頃2人っきりで何してんだろ。

やっぱりそういうこと?

いや、そういうことしかないよね……。

「玲乃ー?」
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