PRECIOUS DARK NIGHT


「どれだけ豪華なの……」


口をあんぐりと開けた私の先に広がるのは───


キラキラとした煌めきを放つ多くのシャンデリアが天井からぶら下がった広いロビー。


上の階へ上がるための階段には赤いカーペットがどこまでも敷かれており、いわゆるお嬢様が住まう“お屋敷”のような雰囲気を全面的に放っている。


わ、私がホームページで見た学生寮はこんなに豪華じゃなかったのに……っ!

なんでっ??


「わぁー、もしかして新入り?」


やけに明るい声が聞こえたのは、それからすぐのことだった。

ロビーと繋がる奥の廊下の方から、ゆったりとした足取りで歩いて来たその男の子は。


私の顔をまじまじと見つめたかと思うと、興味を失ったのかすぐに目を逸らした。


「…っあ、あの!私、寮長室に行こうと思ってて、……。でも場所が分からなくてですね…」

「あー、そういうこと」


一気に彼が纏っていた空気が緩んだのは気のせいだろうか。

……もしかして私、警戒されてた?


「寮長室ならこの建物の中にはないよ。君が向かうべきはここを出て右に曲がってずっと行った先にある一般寮」

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