パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
何、それ…

なんなの、ふざけてるの…?


ふつふつと体の奥から湧き上がって来るこの感じ、本屋で柏木先輩と会った時にもなったこの感覚だ…

何かが溢れ出そうになっちゃって熱くなるの。

これって何なのかな、柏木先輩を見るとなんでこんなに感情が湧きだって… 


ガッと顔を抑え込むように固定された。

そのまま顔が近付いて来た。

「…っ」


あ、そっかわかった。

私怒ってるんだ、体が震えるくらい怒ってるんだ。

こんなにも怒ることってないから。


「…そんなの何が楽しいんですか?」

ピクリと柏木先輩が止まった。唇まであと少しのところで。

「彗くんのこと苦しめて何が楽しいんですか!?苦しんでるところが好きだなんて意味わからない!」

どこまでひどいの!?

なんでそんなことできるの!?

どうしてこんなことまで…っ 


聞いてるだけで吐き気がする…!


「最低!最悪!!狂ってるっ!!!」

ドンッと柏木先輩の胸元を両手で突き飛ばした。

私の力じゃそこまでの勢いはなかったけど肩を掴んでいた柏木先輩の手が離れた、今だと思ってすぐに立ち上がってドアの方へ走っ…

「きゃっ」

後ろになびいたポシェットを掴まれ引っ張られた。

そのせいで体が引き戻された。

バタン…ッ、と床に体が打ち付けられた。

上を見れば天井とのしかかる柏木先輩の姿…

「おとなしくしてりゃまだ優しくしてやったのに」

「っ」

覆いかぶさられたせいで身動きが取れなくなった。

両手は柏木先輩の手で押さえつけられて、動かそうにも動かせない。

口元だけは微笑んだ柏木先輩が目を細めて見下ろして来る。
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