パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
え、やば…っ 


わ、どうしよっ 

どうしよ、どうしよ…っ 



怖い…っ!!!



バクバクと心拍数が上がって、さっきとは全然違う張りつめた空気に負けそうになる。

「…っ」

ギリギリと息を飲んだ、強い力と冷血な瞳に恐怖が増して声が出なくて。


これって絶対あれだよね…、やばいよね!?

やばい状況だよね!?


泣くな、泣くな自分!泣いてる場合じゃない!!


強引にコートを脱がされ柏木先輩が這うように密着する、そのたびに体が気持ち悪くてぞくぞくと震えた。

「いやっ」


いやだ…っ!


震える、声が体が。


怖くて、どうしたら…



怖いよ、怖い…っ 

こんなの嫌だよっ 


ねぇ、助けて…!


「彗くんっ」

柏木先輩から逃げるように必死に顔を横に逸らして声を振り絞った。でも全然誰にも届かないような声しかでなかった。

「あいつの名前言ったところで無駄だ、どうせ俺の言いなりだからな」

涙が流れて来る、怖くてどうなっちゃうかわからなくてポロポロと涙が流れて来る。


ごめんね、いつもこんなんで。

全然言うこと聞かなくてごめんね。

でもどうしても期待しちゃうの、いつだって助けに来てくれるんじゃないかって。


今でもずっと思ってる。



ねぇ早く来てよ!早く…っ!!



「…ケイっ!!!!!」


―バァンッ!!! 



壊れるんじゃないかっていうくらい勢いよくドアが開いた。

「紫衣っ!!!?」

でもその大きな音にびっくりするよりも安心しちゃったの。
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