パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
「まぁ紫衣がいるからいいと思うけどさ」

「うん?」

「相手が悪いよね、柏木先輩ってとこが!」

いい加減お弁当を食べようかなってランチトートから出したはいいけど、やっぱり食欲がわかなくてただ取り出しただけになっちゃった。

私の時もそうだったけど噂の内容はいつだって柏木先輩が正義で柏木先輩が正しいの。

「その噂が事実と違ったとしても、うちの学校で柏木先輩に敵う人いないしね」

最後のパンを美月が口に入れた。

そうなんだよね…!
スクールカーストトップに君臨してる柏木先輩だもん、平民が何言っても無駄っていうか足元にも及ばない。みんな裏の柏木先輩を知ったらどう思うだろうなぁ。

「こないだの模試全国2位だったらしいよ」

「全国2位!?」

思わず目を見開いちゃって声も大きくなっちゃった。みんなガヤガヤ喋りながらお昼食べてるから声が目立たなくて助かった。

「全国2位ってすごいね、そんな頭いいんだ…」

想像よりもすごい数字だった。

私の模試って何位だったっけ?てゆーかクラスでも2位なんて取ったことないし、未知なる数字過ぎる…

「本当すごいよね、いっぱい努力してるんだろうね」

美月が食べ終わったパンのビニール袋を丁寧にたたんでゴミ袋に入れた。

「ちょっとやそっとの努力じゃ出来ないよちゃんと結果も出してるんだから、すごい人なんだなって尊敬するよね」

ただぼんやりとしか思ってなかったけど成績優秀で先生からの信頼も厚くて、生徒会長をやっちゃうくらい生徒からの人気も高いのは…

そっか…


それは柏木先輩が積み上げて来たものなんだ。


言われて少しだけ考えちゃった。

「…そうだね」
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