パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
「紫衣っ!」
でもその声を聞いた瞬間また力が強くなった。
廊下の遠くの方から叫んで走って来る。
ケイ…っ
探しに来てくれた、私が全然戻って来ないから。
「何してんだ、紫衣から離れろっ!」
「そんなにこいつが大事なのかよ?」
喉を押さえていた手を顔の方へずらし、反対側の手で私の肩を持ってグッと壁に押さえつけた。
「じゃあ首に縄でもつけておくんだな、そんなに大事なら…」
走って来るケイの方を睨みつけて、次に私の方を見た。
「俺が奪ってやるよ」
ギランと目の色を変えて、少し目線を下げた。
「やめろっ、そんなことしたらっ」
“お前を彗から奪ってやる”
わざと見せつけるように、フッと笑って私の唇に近付くー…
「やめろーーーーーーーーーーっ!」
ケイの叫び声がビリビリと壁を伝って体中に響いて来る。
だけどそんなの気にも留めない柏木先輩はグッと私の顎を持つ手に力を入れて顔を傾けた。
必死な顔を見せながらで走って来るケイ、でもまだ遠くて伸ばした手は届かない。
柏木先輩はどんどん迫って来る。
ちょっとずつ、ちょっとずつ縮まっていく距離…
もう柏木先輩の顔しか見えなくなる、触れるまであとー…
ごめんね、彗くん。
「いいですよ」
スッと手を下ろして柏木先輩を見た。
「したいならしてください」
今少しだけここに彗くんがいなくてよかったって思っちゃった。
やっぱり彗くんには見られたくないもん。
「私は全然いいですよ、構いません」
柏木先輩がピタリと止まった。
だからまっすぐ前を向いて、柏木先輩の顔を見て目を合わせたの。
「なんだよ…ッ、その目は」
柏木先輩が声を荒げても何も怖くない、もう怯えることもない。
「こんなことをしても柏木先輩が苦しくなるだけです、私を彗くんから奪うなんてことできませんから」
もう泣いてないよ。
泣かないよ、まっすぐ前が向けるよ。
だって彗くんを私から奪うこともできないんだから。
「私は彗くんが好きです」
揺るがないから、大丈夫なの。
だからごめんね彗くん、少しだけ目をつぶっててね。
でもその声を聞いた瞬間また力が強くなった。
廊下の遠くの方から叫んで走って来る。
ケイ…っ
探しに来てくれた、私が全然戻って来ないから。
「何してんだ、紫衣から離れろっ!」
「そんなにこいつが大事なのかよ?」
喉を押さえていた手を顔の方へずらし、反対側の手で私の肩を持ってグッと壁に押さえつけた。
「じゃあ首に縄でもつけておくんだな、そんなに大事なら…」
走って来るケイの方を睨みつけて、次に私の方を見た。
「俺が奪ってやるよ」
ギランと目の色を変えて、少し目線を下げた。
「やめろっ、そんなことしたらっ」
“お前を彗から奪ってやる”
わざと見せつけるように、フッと笑って私の唇に近付くー…
「やめろーーーーーーーーーーっ!」
ケイの叫び声がビリビリと壁を伝って体中に響いて来る。
だけどそんなの気にも留めない柏木先輩はグッと私の顎を持つ手に力を入れて顔を傾けた。
必死な顔を見せながらで走って来るケイ、でもまだ遠くて伸ばした手は届かない。
柏木先輩はどんどん迫って来る。
ちょっとずつ、ちょっとずつ縮まっていく距離…
もう柏木先輩の顔しか見えなくなる、触れるまであとー…
ごめんね、彗くん。
「いいですよ」
スッと手を下ろして柏木先輩を見た。
「したいならしてください」
今少しだけここに彗くんがいなくてよかったって思っちゃった。
やっぱり彗くんには見られたくないもん。
「私は全然いいですよ、構いません」
柏木先輩がピタリと止まった。
だからまっすぐ前を向いて、柏木先輩の顔を見て目を合わせたの。
「なんだよ…ッ、その目は」
柏木先輩が声を荒げても何も怖くない、もう怯えることもない。
「こんなことをしても柏木先輩が苦しくなるだけです、私を彗くんから奪うなんてことできませんから」
もう泣いてないよ。
泣かないよ、まっすぐ前が向けるよ。
だって彗くんを私から奪うこともできないんだから。
「私は彗くんが好きです」
揺るがないから、大丈夫なの。
だからごめんね彗くん、少しだけ目をつぶっててね。