パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
「柏木先輩はすごいと思います」
上を向く、柏木先輩を見るために。
“本当すごいよね、いっぱい努力してるんだろうね”
“すごい人なんだなって尊敬するよね”
きっと柏木先輩も必死だった。
お母さんの期待に応えるのに一生懸命勉強して、優秀な生徒演じて、そのために捨てたものもなくしたものもあったかもしれない。
そんな自分を1人だって感じちゃったんだ。
柏木先輩もきっと、ずっと誰かに助けてもらいたかったんですよね。
1人じゃないよって、誰かに。
「成績優秀だし先生からの信頼も厚いしみんなに慕われてるし、人気者だし…」
苦しそうにする柏木先輩の顔が私を見てる。
だからすぅって息を吸って、まっすぐ見たんだ。
「それは全部本当のことです」
それは作られた物でもなくでっち上げられた偽物でもない、今までの柏木先輩が積み重ねてきたこと。
「柏木先輩の努力のたまものですよ」
それは嘘じゃないです。
正真正銘、柏木先輩のものです。
だから彗くんにとって自慢のお兄ちゃんだったんだよね。
「何言ってんだよ、なんだよっ、何で…っ」
私が握った手とケイに掴まれた腕を振り払った。私もケイも静かに離した。
顔をゆがめた柏木先輩の瞳からはぽろぽろと涙が流れ、離された手で拭いながら俯いた。
「何でお前に言われなきゃなんねぇんだよ…!」
簡単には止められない涙を、声を殺すみたいに泣いて。
そんな姿をケイは何も言わずただ見つめていた。
上を向く、柏木先輩を見るために。
“本当すごいよね、いっぱい努力してるんだろうね”
“すごい人なんだなって尊敬するよね”
きっと柏木先輩も必死だった。
お母さんの期待に応えるのに一生懸命勉強して、優秀な生徒演じて、そのために捨てたものもなくしたものもあったかもしれない。
そんな自分を1人だって感じちゃったんだ。
柏木先輩もきっと、ずっと誰かに助けてもらいたかったんですよね。
1人じゃないよって、誰かに。
「成績優秀だし先生からの信頼も厚いしみんなに慕われてるし、人気者だし…」
苦しそうにする柏木先輩の顔が私を見てる。
だからすぅって息を吸って、まっすぐ見たんだ。
「それは全部本当のことです」
それは作られた物でもなくでっち上げられた偽物でもない、今までの柏木先輩が積み重ねてきたこと。
「柏木先輩の努力のたまものですよ」
それは嘘じゃないです。
正真正銘、柏木先輩のものです。
だから彗くんにとって自慢のお兄ちゃんだったんだよね。
「何言ってんだよ、なんだよっ、何で…っ」
私が握った手とケイに掴まれた腕を振り払った。私もケイも静かに離した。
顔をゆがめた柏木先輩の瞳からはぽろぽろと涙が流れ、離された手で拭いながら俯いた。
「何でお前に言われなきゃなんねぇんだよ…!」
簡単には止められない涙を、声を殺すみたいに泣いて。
そんな姿をケイは何も言わずただ見つめていた。