パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
ここが彗くんの部屋…

ベッドに勉強机、あと小さいけどテレビもあった。本棚にはたくさん漫画が置いてあってその前にはフィギュアが並べてある。

出しっぱなしのゲームに飲みかけのペットボトルはさっきまでこの部屋に“彗くん”がいたみたいだ。


でも不思議なの、今ここにいる彗くんは部屋にあるもの何ひとつ興味なさそうにベッドの上にドカッと座ったから。


「……。」

「座れよ」

「え…、どこに?」

イスなんかないし、床に?床もリュックとか教科書とか散らばってるし…

「ここ」

足を組んだ彗くんがベッドの上を指差した。

え、…そこ?そこに座るってこと?

「………。」

かけてきたポシェットを下ろしてなるべく1番隅っこ、離れたとこにちょこんっと座った。

「離れすぎだろ」

「だ、だってあなたと近くに座るあれはないもん!」

“彗くん”とも呼んでいいのかわからない人の隣に座れるほど私にそんな経験値なんかないの。

だって緊張しちゃうんだもん、ベッドの上は緊張する…!

てゆーか彗くんのお家も初めてだけど、男の子の部屋だって初めてなんだもん!

こんなの緊張しないわけないよ!!

「………。」

今から、何を話されるんだろう。

話されるでいいんだよね?

話してくれるんだよね?

え、そうなんだよね…っ


「あれ?紫衣ちゃん?どーしてうちにいるの!?」


急に声が高くなった。

それにその話し方はっ

「彗くん!?」

ずっとまっすぐ見ていた視線を隣の彗くんへ向けた。

ぱっちり目を開いた彗くんにドキッとしちゃって、体を向けようとして身を乗り出した。

「わっ」

だけど、不意のことに動揺して体勢を崩しちゃった。

幸いベッドの上、特にケガすることはなかったんだけど…

「おい、何やってんだよ」

「……え?」

ごろんとベッドの上に寝転がる私を上から彗くんが見てる。

え…えーーーーっ!?
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