パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
「ちょっと彗くんは!?ここ学校だよ、あんたの来るとこじゃないの!」

立ち上がって隣を見た。
あとみんなに聞こえないように気を付けながら、彗くんに向かって彗くんは!?って言ってたら私のがやばいヤツだもん。

「は、別にどこだろーといいだろ」

「よくない!彗くん返してよ!」

「返してってなんだよ、なんで紫衣に命令されなきゃなんねぇの?」

こいつ…マジでむかつく!!

彗くんの顔してふてぶてしい態度…
頬杖付きながら眉間にしわ寄せて体育祭プログラム見ちゃってさ。

「今から彗くんと遊ぶ約束してるの」

「へぇ」

「へぇじゃなくて!だから彗くん呼んでって言ってるの!」

「じゃあ彗に言えば?」

プログラムをそのままリュックに突っ込んで立ち上がった。

「言えばって、だから今言ってるんじゃん!」

「じゃあ彗が行きたくないんじゃね?」

「な…っ」

こ、こいつ~~~~~!!!

こっちも見ないでタメ息付いたな!
なんであんたにタメ息付かれなきゃなんないの!?

でも声を控えなきゃいけないこともあって全部小声でしか反論できないことにさらにイライラしちゃって。

「もういい!1人で帰るもん!」

彗くんが行ってくれなきゃ意味ないし!

リュックを背負って廊下に出ようとドアの方へ向かった。

いいんだ、いいんだ、また明日誘えばっ

「紫衣ちゃん!」

「え、彗くん!?」

私を呼ぶ声が彗くんだったから、その声にはつい反応して振り返った。 

「小村さん」

「…っ!」
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