パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
なのに、振り返ったら彗くんでもなくあいつでもなく柏木先輩が立っていた。

私と彗くんの間に入ってにこって微笑んで…微笑んでるのに、それが今はもう信じられなくて思い出して体が固まる。  

「小村さんにお願いがあって」

「え…、何ですか?」

じぃっと見つめられて動けない、ドクンドクンと胸が騒がしい。何を言われるんだろうって…

「体育祭当日のことなんだけど」
 
「あ、体育祭!体育祭の!?ですよね、はい!」

そ、そうだよね!?
ここではいつも通り優しくて人気の柏木先輩だよね!?

みんないるもんねっ

「体育祭終わったら順位タスキ集めて野田先生に渡してもらえないかな?」

ゴールした順番にタスキをかける係は基本自分の出場種目以外その仕事がある、だから結構出番が多くて同じ係をする人の中でも私はそこにいる時間が長い。だって出る種目玉入れしかないもん。

「本当は生徒会の仕事なんだけどみんな他で忙しくて…小村さんタスキ係だったよね?」

「そうです!」

「お願いできないかな?」

体育祭のこと、これを断る理由はなくてはい!っと頷いて答えた。とりあえず返事はよくしとこうって。

「わかりました、終わったら集めて野田先生に持って行けばいいんですね」

「うん、引き受けてくれてありがとう」
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