パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
「紫衣、リレー出てくれない!?」

「え!?」

「お願い小村さん!走ってもらえない!?」

「えぇ!?」

みんなが口々にお願いって言いながら手を合わせて私を見て来る…

いや、お願いって言われてもそんなこと言われても私には…!

「ま、待って待って!1人ケガで出れないんだよね?こーゆう時って補欠の子じゃない!?補欠の子が出るんじゃないの!?」

「あ、それが補欠の子…」

「うん」

「今日休みだよ」

「えーーーっ!!?」

え、そうだっけ!?今日休みだったっけ!?

ちょっと待ってよ、そんな…

「他に頼める人いなくて…」

急に絶望の淵に立たされた気分になった。

「運動苦手なのはわかってるけど、でもとりあえず走ってくれたらいいから!」

美月たちがリレーの練習をして来たのは知ってる。バトンの渡す練習とか一生懸命やってたもんね、実行委員の仕事で遅くなった日、何度も見たことあるよ。でも…

「紫衣にしかもう…」

言わば走りたくなくて体育祭実行委員になった。体育祭実行委員の仕事は準備から片付けまでたくさんあるから、当日も忙しいんだよねって理由に使えたから。

「こうゆう時は体育祭実行委員にお願いするしかないかなって!」

「……え?」

この展開は完全予想外だよ!
体育祭実行委員裏目に出てるーーーーーーーっ!

絶対絶対断ろうと思ってた。

私にリレーの選手なんて無理だし、恥かいて終わるに決まってるし、そんなの絶対やりたくないし!

なのに…っ

「わ、わかった。足遅いけどそれでもいいなら…」
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