パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
しーんとする空気、そっか…

そーだよね。

元々こんなヤツだったんだよね。

「わかんないよ、私の気持ちなんか…」

彗くんの身体乗っ取ってるヤツに人の気持ちなんかわかるわけないんだ。

「わかんないでしょ!私がどれだけ不安に思ってるか!でも彗くんだったら、彗くんだったら…っ」

きっと大丈夫だよって応援してくれるんだ。

にこって笑って背中押してくれるんだ。

それだけでいいのに、それだけでがんばれるのに…

「あたりまえだろ、わかるわけねぇよ」

足を組んで腕を組んでケロッとした顔で答える。

「俺は運動得意だし」

ほんとむかつく…っ!

なんなのほんとに、なんでこんなヤツが彗くんの顔して喋ってるの…


本当に信じられないんだけど!


「無責任に引き受ける紫衣が悪い」

「!」

核心を突かれてウッと胸がえぐられたような気分になった。

もとはと言えば断り切れなかった私が悪い…

「それは…、そうだけど」

でもみんなにいい顔したかったとかそんなんじゃなくて、みんな今日までがんばてやってきたから力になれたらなぁって思ったけど…
そんなこと思わない方がよかったかもしれないよね。
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