パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
「ハチマキ、絶対落として来るなよ」
「は…?」
俯く私に腕を組んだまま頬杖を付いたケイがゆっくりと目を合わせた。
「俺のだから」
「汚すなってこと!?いいよ、じゃあ返すし!」
頭に着けたハチマキをほどこうと思って手を添えた時、立ち上がったケイが私の手を掴んで止めた。
「彗の気持ち入ってんだろ」
「…!」
“紫衣ちゃんの体育祭が楽しい体育祭になりますように!”
思っていたよりもケイの手が熱くて無性にドキドキしてしまった。
本当に全部知ってるんだ、私と彗くんのこと全部…
見てるんだね。
彗くんがこのハチマキに込めてくれた思いも全部わかってるのかな…
「言っておくが、俺は彗より運動が出来る」
「は、何!?嫌味!?」
「だから半分どころじゃねぇーから」
“オレの運動神経紫衣ちゃんに半分わけてあげる!”
触れたままだった手を離して、ケイに背中を向けてボソッと呟いた。
「…交換しても意味ないみたいなこと言ってなかったけ?」
「それは、俺を信じるか彗を信じるかだな」
「そんなの…っ、彗くん!彗くんを信じるに決まってる!」
くるっと振り返って上を見た。顔を見るように、どんな顔で言ってるのかなって。
「じゃあ行って来いよ」
フッとまるで挑発するように、口角を上げて笑っていた。
いや、笑ってるっていうのかな。鼻で笑ってるって感じな気もするけど。
でも…
「わかった、行って…来る!」
トンッと私の背中を押してくれた。
なんかわかんないけど、その手から伝わる温度が私に勇気をくれた気がしたんだ。
「は…?」
俯く私に腕を組んだまま頬杖を付いたケイがゆっくりと目を合わせた。
「俺のだから」
「汚すなってこと!?いいよ、じゃあ返すし!」
頭に着けたハチマキをほどこうと思って手を添えた時、立ち上がったケイが私の手を掴んで止めた。
「彗の気持ち入ってんだろ」
「…!」
“紫衣ちゃんの体育祭が楽しい体育祭になりますように!”
思っていたよりもケイの手が熱くて無性にドキドキしてしまった。
本当に全部知ってるんだ、私と彗くんのこと全部…
見てるんだね。
彗くんがこのハチマキに込めてくれた思いも全部わかってるのかな…
「言っておくが、俺は彗より運動が出来る」
「は、何!?嫌味!?」
「だから半分どころじゃねぇーから」
“オレの運動神経紫衣ちゃんに半分わけてあげる!”
触れたままだった手を離して、ケイに背中を向けてボソッと呟いた。
「…交換しても意味ないみたいなこと言ってなかったけ?」
「それは、俺を信じるか彗を信じるかだな」
「そんなの…っ、彗くん!彗くんを信じるに決まってる!」
くるっと振り返って上を見た。顔を見るように、どんな顔で言ってるのかなって。
「じゃあ行って来いよ」
フッとまるで挑発するように、口角を上げて笑っていた。
いや、笑ってるっていうのかな。鼻で笑ってるって感じな気もするけど。
でも…
「わかった、行って…来る!」
トンッと私の背中を押してくれた。
なんかわかんないけど、その手から伝わる温度が私に勇気をくれた気がしたんだ。