パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
あっという間に半分くらい食べ終わっちゃって減っていくクレープを見るのがちょっぴり寂しい。彗くんと食べるクレープおいしすぎてたぶん食べるスピード早かった。

「紫衣ちゃんチョコレート好きだよね、いっつも食べてない?学校でよく見るよ」

「うん、好き!」

「紫衣ちゃんいっつも甘い匂いするもん」

「噓!?」

え、待ってそれはちょっと恥ずかしい!
いっつもって、食いしん坊みたいじゃん!?

まぁまぁまぁ確かに、よく食べてるのはそーなんだけどね?

「ここチョコレートついてるよ」

「え?」

トンッと自分の口元を人差し指で差しながら教えてくれた。

「どこどこ?」

すぐにポシェットからティシュを取り出して顔についたチョコレートを拭おうと、なんとなくこの辺かなというところにティシュを当てた。

「そっちじゃないよ、もっとこっち」

「え、どこどこ?どっち?」

鏡を出そうにも片方の手にはクレープを持っていて取り出せない。オロオロしてあてずっぽで拭き取る私の手からスッとティッシュを持っていった。

「ここだよ」

ピタッと彗くんの指先が唇に触れた。

唇の下に付いたチョコレートを拭いてくれようとしたから。

その瞬間、触れた指先からぶわーっと一気に血が巡っていくみたいに体が熱くなった。


やばい、ドキドキする。


今日イチのドキドキがやばい。


しかも、すごく顔が近い。


パチッと合った目はどうしたらいいかわからなくて、見つめ合ったまま瞬きさえできなくて。


もし、もしここで目を閉じたら…



キスしてくれるのかな?
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