パブリックダーリン~私と彼と彼氏~
「さ!次どこ行こっか!!」

パンッと手を合わせてにこっと笑った。

離されてしまった手がちょっぴりコ寂しいけど、彗くんが笑うと私も笑っちゃうから…

まぁいいか!

「何食べる?」

「私はねぇ、ベビーカステラ!」

「あ、おいしい!おいしかった!」

「まだ食べてないよ?」

くすくす笑って前を歩く彗くんの後ろを歩いた。

彗くんが私といて楽しいって思てくれたら嬉しい、少しでも彗くんにとって楽しいって思える場所になれたら…

それくらいしか私には思い浮かばないから。

どうしたら彗くんを救ってあげられるのかなんて…

「ぶっ」

急に彗くんが立ち止まったからそのまま彗くんの背中に顔から突っ込んじゃった。

「ちょ、彗くん!?」

ぐるんっと振り返ってものすごい眼光で上から私を見た。

その視線にはちょっとビクッてなっちゃった。

「俺から離れるなよ」

「ケイ…っ」

低い声が体に響いて、脅されてるみたいに。

彗くんの後ろを歩いてたから前が見えなくてわからなかったけど…

「柏木先輩いたの?」

「あぁ、それらしきのが見えた」

確認するようにケイが前を向いた。後ろから覗き込むように見てみたけど人が多くてわからなかった。

「柏木先輩もお祭り来るんだね、ちょっと意外かも」

こーゆうの興味なさそうに見えたから来ないかと思った。

「“人気者”だからな」

…あ、そっかそーゆうことか。
表ではそうだもんね、みんなに誘われるに決まってるよね。

そっか、…じゃあ彗くんとはもうここでお別れかな。

でも水ヨーヨー取ってもらえたしね、1コは思いでは出来たもんね。水ヨーヨーを両手で持ち上げて見つめる、しぼむ前に写真撮っておこう。

「悪かったな、俺で」

そんな私に気付いたケイが眉間にしわを寄せた。

「べ、別にそんなこと…!」

思ってなくはなかったけど…嫌、でもなかったんだけどな。
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