「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。
「なるほど、確かに僕達はお互いのことをよく知っている。気心が知れているという意味なら、これ以上ない程に最適だ」

 私としては、アルペリオ兄様との婚約は良いものだと思っている。
 貴族の娘として生まれた私は、誰かと政略結婚させられることが決まっていた。その相手によって、私は悲惨な道を歩む可能性があった。
 しかし、アルペリオ兄様が相手ならその心配はない。そう思えるだけの信頼がある。

「……レミアナ、それなら僕は誓わなければならないな。君を幸せにすると」
「その点に関して、私は心配していません。アルペリオ兄様なら、そうしてくれると信じていますから」
「そう言われると、少しプレッシャーを感じてしまうね……」 

 私の言葉に、アルペリオ兄様は苦笑いを浮かべていた。
 だが、彼ならきっと大丈夫だ。そう思って、私は笑うのだった。
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