ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
そこには男性の聖職者さんがいて、さっそく調べてもらうことになる。
ステータスを調べる方法は、神殿にある“巨大な鏡”――『神鏡』に触れながら式句を唱えるというもの。
鏡は神様との親和性が高く、それに触れることで神様とより近い距離で対話ができるという。
特に神殿に設けられた神鏡は神聖な力を蓄えていて、神様からの啓示を聞くのに最適だと言われているのだ。
「では、神鏡に触れながら式句を唱えてください」
聖職者さんに促された私は、後ろでクリムが見守る中で奥の壁に設けられた巨大な鏡に手を触れる。
純白の飾り枠は波打つような模様で、天窓から射し込んでいる陽光が全体を眩しく照らす中、私は言い間違いがないようにゆっくりと式句を唱えた。
「【我が身に宿る恩恵を映し出せ】」
瞬間、鏡面がほのかに白い光を放ち始める。
それはじわりと形を変えていき、文字となって鏡面に私のステータスを映し出してくれた。
◇ショコラ・ノワール
性別:女
年齢:18
称号:【孤独の採取者】【聡明の魔術師】
◇称号
【孤独の採取者】・孤独な素材採取者の証
・魔物領域での長時間の素材採取を継続日数300日で取得
・採取した素材に上等な性質を付与
【聡明の魔術師】・熟練の魔術師の証
・魔法による魔物討伐数10000体で取得
・魔力成長率2倍
「な、なに、この称号……?」
神鏡に映し出された自分のステータスを見て、私は唖然としてしまった。
本当に称号を授かっていた。しかも見たことも聞いたこともない称号を。
孤独の採取者。
加えてそれだけではなく、冒険者や騎士が授かると言われている聡明の魔術師の称号まで宿っている。
自分が知らぬ間に、二つの称号を神様から授かっていた。
「『採取した素材に上等な性質を付与』、か。とんでもないスキルだ」
クリムは複雑そうな表情で苦笑を浮かべている。
「基本的に自然界に存在する素材にはなんの性質も宿ってない。けどショコラは、【孤独の採取者】の称号に付随してるこのスキルで、採取した素材に性質を“付与”してたんだ。しかもかなり上等な性質を」
「わ、私が、採取した素材に……」
我ながら凄まじい力だと直感する。
採取した素材にとんでもない性質を付与できる力。
本来は錬成術を極めた熟練の錬成師たちしか付与できないはずの性質を、私は素材を採取するだけで付けることができてしまうのだ。