ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
「あっ、それならさ、私が採って来た素材でクリムが錬成すればいいんじゃない?」
「ショコラの素材で……?」
「そうすればSランクの性質がいっぱい付いた、至高の状態の錬成物が出来るんじゃないの?」
私が採って来た素材には規格外の性質が付与されている。
それを錬成に使えば性質を受け継がせることができるので、至高かつ超性質満載の錬成物になるんじゃないの?
まさに最強の錬成物だ。
と、思って提案してみたのだけれど……
「……ショコラの採って来た素材は使わない」
「えっ?」
「使えるわけないだろそんな素材。それで僕の錬成物の質が良くなっても、周りから評価されるのは僕だけになるじゃないか」
確かに、実際に手掛けるのがクリムである以上、私はただの素材採取係としてしか認識してもらえない。
それを気にして、私が採って来た素材を使おうとしなかったってことか。
何よりそんなやり方で名前を広めるのは、クリムが一番嫌がりそうなことだ。
クリムだったら、自分の力だけで錬成師として名を広めたいはずだから。
「それが嫌だったから素材採取係としてじゃなく、錬成の手伝いをしてもらおうって思ったんだ。僕をどこぞの傲慢な錬成師と同じにしないでくれ。ショコラの採って来たものは、ショコラが自分で使いなよ」
「……う、うん。わかった」
クリムが気を遣ってくれたのだとわかり、私は“言いようのない気持ち”で頷きを返す。
私のことなんか気にしなくていいのにな。
私はお世話になっている立場なんだから、どんどん利用してくれて構わないのに。
まあ、クリムがそう言うなら、自分で採って来たものは自分で使わせてもらうとしよう。
「あっ、クリムも【孤独の採取者】の称号を取ればいいんじゃないの? そうすれば自分で採って来た素材で最強の錬成物が出来るんじゃ……」
「いや、取ればいいって簡単に言ってるけど、それの取得条件ちゃんと見てなかったの?」
「取得条件?」
そういえばなんだっけ?