ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
第六話 「大好評の傷薬」
傷薬の錬成作業を始めて一週間。
どうやら傷薬が大好評のようです。
「クリム君の傷薬もすごいけど、ショコラちゃんの方もなかなかに強力だって騎士団って噂になってるよ」
すでに討伐任務で使用した騎士たちから、かなりの好評をもらっているらしい。
ということを、アトリエに遊びに来た近衛師団の団長ムースさんに教えてもらった。
「色んな性質が付いてて面白いし、討伐師団の人たちに大人気なんだってさ。特に治癒効果が凄まじくて、どんな傷も一瞬で塞がるから討伐任務でも重宝されてるって話だよ。それと噂だと、千切れかかった腕も元通りくっついたとか……」
「えっ?」
千切れかかった腕がくっついた?
私の傷薬ってそんなに治癒効果が高いの?
「開拓師団の方でも採用が決まったから、これからますます錬成依頼が来ると思うよ。よかったねショコラちゃん」
「は、はい……」
果たして本当に腕がくっついたのかどうかは定かではないが、とりあえず問題は無さそうでよかった。
ていうかあまりにも上手くいきすぎていて、まだほとんど実感が湧かない。
私が作った傷薬が、あの崇高な王国騎士団の騎士様たちに認めてもらった……
本当に身に余る光栄である。
正直、酷評も覚悟をしていたから意外な結果に驚きを禁じ得ない。
クリムが作った錬成物に比べたら、私の品はやはりまだ安定感はないと思っていたから。
私は採取した素材に上等な性質を付与できるけど、その性質は自分で選ぶことができない。
だからどうしたって錬成する傷薬の性能には多少のバラつきが出てしまう。
素材ごとに付与される性質はある程度決まっているとは言っても、すべてが同じというわけではないので、完成品にも差が生まれてしまうのだ。
◇長寿草
詳細:豊富な栄養素を持つ薬草
特に根の方に貴重な栄養が集まっている
一本摂取すると寿命が一年伸びると言われている
性質:治癒効果上昇(S)
◇長寿草
詳細:豊富な栄養素を持つ薬草
特に根の方に貴重な栄養が集まっている
一本摂取すると寿命が一年伸びると言われている
性質:毒耐性上昇(S)
こんな感じで『長寿草』に『治癒効果上昇(S)』以外の性質が付与されることもある。
基本的には『治癒効果上昇(S)』の性質が付与されやすいけど、たまにこうして『毒耐性上昇(S)』だったり『身体能力上昇(S)』といった性質が付与される。
あと『爆発力強化(S)』とか傷薬に継承できない性質とか宿ることもある。
今回騎士団の人たちに向けて作った傷薬には、『治癒効果上昇(S)』の性質を付与しているけれど、他の素材の性質は厳選していないため『炎耐性上昇(S)』だったり『跳躍力上昇(S)』とか付いたりしてるんだよね。
それを“面白い”と受け取ってくれたみたいでよかったけれど、大量生産する傷薬はやはり安定感の方が大事だと思う。
騎士団の方から採用はしてもらったけど、やっぱり自分でもある程度は性質付与ができるようになって、状態も最良のものを作れるようになりたいな。