ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
カボス山にて素材採取を終えると、いよいよ武器の錬成に取り掛かることにした。
使う素材は『岩人の鉱石』と、岩山で採取した『鼠石』と『光砂鉄』。
騎士団で使っている剣はこの三つを錬成素材にして作っているようだ。
鉱石の方は言わずもがな剣の刀身部分に使われるものだが、鼠石の方は握りの部分として錬成に加える。
鼠のような色と形をしていて、暗くてじめじめした場所にあるためこの名が付いたらしい。
一方で磨くと輝くような銀色を放つことで見映え的にいいとされている他、柄の素材として用いると滑りにくくなるとのことだ。
光砂鉄の方は刀身に練り込むことで耐久性の補強と見た目の美しさが増すらしい。
そして岩人の鉱石の方は、耐久性が高くて魔物の魔力が蓄えられているため強力な一振りができやすいそうだ。
切れ味や頑丈さはもちろん、性質付与ができる錬成師が鍛治素材に用いると、通常以上の魔力を込められるため強い性質を付与しやすいという。
まあ私の場合は、素材そのものに強力な性質を付与できているからあんまり関係ないけどね。
ちなみに今回採取した素材にも、相変わらずとんでもない性質が付与されていました。
◇岩人の鉱石
詳細:岩人の体を構成していた鉱石の一つ
耐久性が高く魔力が蓄えられている
鍛冶や調合による加工は難しい
性質:鋭利性強化(S)
◇鼠石
詳細:鼠のような灰色と形が特徴的な石
磨くことで鮮やかな銀色の輝きを放つ
性質:耐久性強化(S)
◇光砂鉄
詳細:暗所で光を放つ砂鉄
製鉄に用いると輝きを宿す鉄が作れる
性質:自動研磨(S)
「鋭利性強化に耐久性強化、それに自動研磨まであるのか……。武器錬成に最適な性質ばかりだね」
感心しているのか呆れているのか、クリムが苦笑を浮かべながらそう言った。
私はまだ性質のこととかよくわかっていないので、どれほど貴重なものなのかは理解できていないけど。
とりあえずはまあ、さっそく刀身部分の錬成修行に取りかかることにした。
まずはクリムが錬成のイメージを教えてくれる。
鉱石の変形、剣の形状、不純物の除去などなど。
手元には見本も用意してくれて、クリムは丁寧に説明してくれた。
おかげで私は錬成のイメージを早く吸収することができたので、すぐに実際の錬成に取りかかることにする。
けれど……
「う、上手くいかない……」
これが予想以上に上手くいかなかった。