ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
てっきりショコラを傷付けたことを叱られると思っていたクリムは、安堵から涙を滲ませながら頷いた。
『し、したいです。ショコラと仲直りしたい。でも、話しかけるきっかけがなくて……』
今さら改まって声を掛けるのはさすがに躊躇われる。
その気まずさがあるから、今日までずっと話しかけることができていなかったから。
何か一つきっかけさえあれば、そこから話を広げていつも通りの関係に戻れるのに。
その難題に対して、チョコは一つの回答を用意してくれた。
『それなら、錬成術教えてあげよっか』
『えっ?』
『ショコラも今ね、私の真似して錬成術の練習してるの。でもなかなか上手くいってないみたいだからさ、クリム君も錬成術の練習して、ショコラより上手くなって錬成術のこと教えてあげればいいんじゃないかな?』
『……』
目から鱗が落ちた気分になった。
確かにそれはいいきっかけになると思った。
少し前にも錬成術にハマっていると聞いたことがあったので、仲直りのきっかけにするならこれしかないと思える。
『どう、ちょっとやってみない?』
その日からクリムは、チョコに錬成術を教えてもらうことになった。
もちろん、仲直りを目指すショコラにはこのことを隠す前提で。
ショコラには趣味で始めたと言ったが、本当は仲直りのきっかけ作りのためにチョコから錬成術を学び始めたのだ。