ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
第二話 「再会」
私が錬成師を志したのは、お母さんに憧れたからだ。
お母さんの名前はチョコ・ノワール。
美人で優しくて、声がほわほわしていたのが印象に残っている。
それでいつも、錬成術で面白いおもちゃとか、可愛い服とか、美味しいお菓子だってたくさん作ってくれた。
ババロアの発言に憤りを覚えたのはそれが理由である。
男性とか女性とか関係なしに、お母さんはとてもすごい錬成師だったから。
そんなお母さんは、私が十歳の時に重い病気に罹ってしまい、すでに他界している。
『お母さんね、いつかアトリエを開くのが夢なの。それでもっとたくさんの人たちを笑顔にしたいんだ』
その夢を叶える前に、お母さんは病気で倒れてしまった。
だから私が代わりに、お母さんの夢を叶えてみせる。
アトリエを開くことができたら、きっとお母さんがすごい錬成師だったってことをみんなに証明できる気がするから。
そのために私は故郷の村を飛び出して、錬成師の道を歩み始めた。
お父さんも背中を押して送り出してくれて、お母さんの夢を託してくれた。
けれど……
「……これからどうしよう」