ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
第十話 「仲直り」
お母さんとの秘密の関係について、クリムは話してくれた。
色々と衝撃的なことを聞いて、私はひどく混乱している。
まさかクリムが、お母さんから錬成術を習っていたなんて。
それも私と仲直りするために修行をしていたなんて、まるで知らなかった。
それなのに私は……
「ご、ごめん……わたし……」
クリムにひどいことを言ってしまった。
お母さんと長い時間を過ごして、たくさんの思い出があるはずなのに……
『関係ない奴が割り込んでこないでよ』
勝手に無関係だと思い込んで、嫌がらせでお墓参りを邪魔されたのだと思って……
『お母さんのこと、なんにも知らないくせに!』
お母さんがいなくなった悲しさを、八つ当たりのようにぶつけてしまった。
本当に何も知らなかったのは、私の方じゃないか。
「クリムにひどいこと……言っちゃった……」
クリムがこの長年、ずっと怒っていたのも納得できる。
私に謝りたくないと思っていたのも当然だ。
錬成術の師匠で尊敬しているお母さんのことを、なんにも知らないのだと決めつけられたのだから。
「ごめんねクリム。私の方こそ、クリムのことなんにも知らなかったのに……」
「……僕が悪いんだよ」
それでもクリムはかぶりを振って謝ってくる。
「僕がショコラにひどいことを言わなかったら、仲違いすることだってなかったんだ。そもそもチョコさんとの関係を秘密になんてしていなかったら、もしかしたら三人でもっと楽しい思い出だって作れてたかもしれないのに」
クリムは後悔を滲ませるように歯を食いしばる。
「それでずっと謝りたいって思ってたんだ。でも、変な意地を張ってたせいで、ずっと謝ることができなかった。チョコさんとの関係を秘密にしていたのは僕の方なのに、無関係だって言われて勝手にカッとなって……」
そこでクリムが、不意に言葉を切る。
「…………いや、違うか」
「えっ?」
「本当は、“怖かった”んだ。ショコラに責められるんじゃないかって、ずっと怖かったんだ」