ブラックアトリエから不当に解雇されたけど、宮廷錬成師になっていた幼馴染と再会して拾われました〜実は隠されていたレアスキルで最高品質の素材を集めていたのは私だったようです〜
私は手に持った招待状を見つめながら、クリムに問いかけた。
「私がいなくなった後、クリムはどうするの? また新しい手伝いを探したりするの?」
「うーん、もう手伝いは雇わないかな。正直いてくれた方が助かるとは思ってるけど、王国騎士団のための傷薬とか武器を錬成できる見習いがショコラの他にいるとは思えないし。僕が一から教えてる暇も、もう無さそうだからね」
日に日に増していく錬成依頼。
今は私が半分をかけ持って、二人で錬成を進めているから互いに好きなことをできている。
でもそれを一人で抱えるとなれば苦労は必至だろう。
かといって見習いを指導している暇もないため、今後はクリムが一人で王国騎士団からの依頼に応えなければならない。
きっと今までのように錬成術の研究はできなくなってしまう。いや、それどころか、莫大な依頼の量に体を壊してしまってもおかしくはない。
「まあ、ショコラがいなくなった後は、前みたいに一人で傷薬と武器の作成をするよ。で、時間を見つけられたら少しずつでも錬成術の研究を進めようと思う。そんな時間がとれるかはわからないけど、錬成師として忙しいのは嬉しい限りだからね」
「……」
まるで強がるようにクリムはそう言う。
そんな彼の様子を見て、私は握っている品評会への招待状を見下ろした。
……たぶんお母さんも、この方が喜んでくれるよね。
「私、品評会には出ないことにするよ」
「えっ?」