キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「掃除の際、使用人が見つけた。都合が悪ければ隠すのか恥ずかしい奴め」
「――ッ」
茶色の髪の間から、これでもかと睨まれている。
私の部屋を勝手に物色した使用人よりも、満点を取れなかった私の方が悪いという目だ。
違うんです、お兄さま
私は答案用紙を引き出しにまとめていて
他にも百点の答案用紙があったはずです
「……っ」
言いたい、けど……言えない。
言ったら最後、もっとひどい言葉を浴びせられるだろうから。
「すみません、でした……」
お兄さまに深々とお辞儀をする。
すると「はぁ」と、呆れにも近いため息が降って来た。
「家庭教師をつけよう。放課後は毎日、家で勉強するんだ」
「ま、毎日……⁉」
待って、待ってよ。
確かに満点ではなかったけど、99点だったんだよ?
それに私から放課後をとったら……もう何も残らない。
麻琴ちゃんと寄り道できないし、学校行事にさえも参加できなくなる。
それだけは嫌だ――!