キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「次はちゃんと満点をとりますから……っ。
だから家庭教師は……嫌ですッ」
私は麻琴ちゃんと一緒に帰れる放課後があるから、家での仕打ちにも耐えられるの。明日も頑張ろうって思えるの。
だから、お願いします。
私から自由を奪わないで――
「……わかった」
「あ、ありがとうございますッ」
安心してホッと息をついた、
その時だった。
「家庭教師が嫌なら、俺が直接教えてやる」
「え――」
ち、がう。違うよ。
私が「イヤ」と言ったのは、そういう意味じゃない。
「明日から毎日。放課後になったら俺の部屋へ来るように。
分かったら、さっさと出て行け」
「――ッ」
バタンッ
では、も。
失礼します、も。
何も言わないまま、お兄さまの部屋を飛び出した。
だって、だって……
こんなの、あんまりだよ……っ。