キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
act5······▸ 地下
B地区に帰って来るまで、私はずっと寝ていたらしい。
起きると、そこは凌生くんの部屋だった。
「凌生くんは……どこに行ったんだろう」
ベッドからむくりと体を起こす。
すると制服じゃなくて、買ったばかりのパジャマを着ていることに気付いた。
「まさか凌生くんが着替えさせてくれたの……?」
可愛いパジャマに気分が上がるけど、もしも凌生くんが着替えさせてくれたなら私の下着姿を見られたということで……複雑。
凌生くんが帰って来たら、一応聞いてみよう。
「今は……夜の六時かぁ。何をしようかな」
部屋にはテレビもないし、自分のスマホもなければ、勉強道具もない。
掃除をしようと思って部屋を歩いたけど、なぜか掃除道具がない。
スポンジの一つでもあれば掃除が出来るのに……。
「お部屋を出たら、怒られるよね……?」
でも、何もしないのも手持無沙汰で。
私に出来ることがあるなら少しでも――と思う一心で、ここから出る決意を固める。