キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「総季のお屋敷に慣れない間の事だったと、お母さまから聞きました。まだ幼かったこともあるし、家具との距離感がつかめてなかったんだと思います」

「……ふーん」


興味あるのか、それとも全くないのか。

どっちともとれない曖昧な返事をした凌生くんを前に、体をブルリと震わせた。


「そんなことより……寒いですっ」

「ふ、悪い」


悪いと言いながら、凌生くんは更に私を抱きしめた。

どうやら離す気はないらしい。

裸だから、離されても困るけども。


私は裸。凌生くんは着衣。

その差が余計に恥ずかしくて……パニックになった頭は、とんでもないことを口走る。


「りょ、凌生くんも一緒に入りますか?」

「は?」

「だって私だけ裸って……ズルいじゃないですかっ」

「!」


すると凌生くんはしばらく沈黙した後。


「イケないやつ」と。


小さく呟いて、私の首筋に吸い付いた。
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