キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
act2······▸ 人質
夢の中。
自分の泣き声が響いている。
『う、ひっく……』
汚れたワンピース、長い茶色の髪の毛。
あぁ、間違いない。
あの小さな女の子は、私だ。
『お兄さま、ごめんなさい。
私、もっといい子になるからぁ……っ』
再婚して、すぐ。お兄さまは私に対してキツい態度だった。
だから私は、小さな頃からよく泣いていた。
だけど……
一人じゃなかった気がする。