キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
act6······▸ 看病
それは、急な提案だった。
「え、私が学校に、ですか?」
「そう。行きたい? 行きたくない?」
「もちろん行きたいです!」
朝起きてすぐベッドの中でまどろんでいると、先に起きていた凌生くんが上から、私の顔の両側に手をついた。
なんだか……。
「この態勢、恥ずかしいのですが」
「ふっ、なんで?」
なんで?って笑ってるわりには楽しそうな顔。
これは……凌生くん、私をからかってる。
「言って、未夢。なんで恥ずかしいの?」
「だ、だって……」
モゴモゴと口を動かす私に、どんどん顔を近づける凌生くん。
朝から綺麗な顔はまぶしすぎて、恥ずかしさに比例してどんどん急上昇する体温。
観念して、白状するしかない……。
「なんだか襲われてるみたいで、恥ずかしいんです……っ」
「……ぷっ」
「だから言いたくなかったんですよ……っ!」
凌生くんが私を襲うわけないって知ってるけど、この態勢は、そう思っちゃうんだもんっ。