キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「え……?」

「ごめんって謝られても、簡単に〝優しい奴〟って信じるな。

優しさは裏切りと同等の価値ってこと忘れるなよ」

「!」


冷たい瞳の凌生くんを前に、体が動かない。

怯えてるからって理由もあるけど……それ以上に悲しいんだ。


「凌生くんには、きっと分からないです……」


優しくしてもらうことが、私にとってどれだけ特別なことか。

どれだけ心が満たされて、あたたかくなるのか。

凌生くんは、分かってくれないんだ。

いや……別に分かってもらわなくていい。


だって私は、ただの人質だから――


「ここの人達を信じるか信じないかは、私の自由です……っ」

「……勝手にしろ」

「か、勝手にしますっ!」


啖呵を切った手前、部屋にいるのが気まずいからドアを目指す。

その瞬間、凌生くんのスマホからピピっと通知音が聞こえる。どうやらメールらしい。

凌生くんは画面に目をやった後――切れ長の瞳を大きく見開いた。

そして、


「っ、未夢!」

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