キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
するっ
「ひゃっ」
「……痩せてんな」
「え……?」
私の頬に手を当て、一言だけ呟いた。
その声が寂しそうに聞こえるのは……気のせい?
「ここに食事を持ってこさせる。何がいい?」
「えっと、その前に……。ここは、どこですか?」
「なんだ、知らずに来たのかよ」
はぁ、と。
男の人のため息が聞こえた。
「ここはB地区。傘もささずにずぶ濡れになった挙句、お前は倒れたんだよ」
「びー……え、B地区っ⁉」
ビックリして、ベッドだということも忘れ思わず立ち上がる。
グラッ
「きゃ――!」
ふかふかベッドの上で立ち上がった私の重心は、あっけなくバランスを崩す。
そして前へ後ろへと体が揺れた後、ぼすんと。
男の人の腕に、すっぽり入ってしまった。