キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「や、あの……っ」
「ほい、叩き落さないでねー」
思わず手が出て、スプーンごと振り払おうとする。
だけど雷斗くんが、ひょいとかわしてしまった。
「本当に、あとで食べるので……」
「……未夢ちゃんさぁ」
見上げると、雷斗くんの冷たい瞳と視線が交わる。
「ちょっと勝手すぎない? 俺らは未夢ちゃんにバレないようにイレイズも毒入りご飯も始末しようとしたのにさ。
勝手にしゃしゃり出てきて、結果自滅したのは未夢ちゃんの責任でしょ?」
「あ……」
その通りなだけに何も言い返せない。
今回のことは自分から蒔いた種だ……。
「だからこそ未夢ちゃんは食べる権利があると思うんだよね。ほら、俺らがいたぶって未夢ちゃんが衰弱していくのは分かるけど、自ら弱られたんじゃ〝なぶりがい〟がナイじゃん?」
「なぶり、がい……」
「それに未夢ちゃんは人質なんだから、大人しくいう事きかないと」
その通りだ……。
こんなに好き勝手行動する人質なんて、幹部からしたら邪魔以外のなんでもないし。
彼らの言う通りにしなくちゃ……。