キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
部屋を移動している時に、お盆に乗った小瓶が見えた。
「それ飲んでって。冬城から」と夏屋に言われ、クイッと口に流し込む。
「よく給水感覚で飲めるね。かなり苦いって聞いたけど?」
「飲んだ後に情報を出すなんて、夏屋は優しいんだな」
「褒められてもな~」
ニコニコ笑う夏屋。
コイツのこういうところが、昔から食えない。
未夢を一晩かしてなんて言うし、安心できない奴だ。
ガチャ
「おや、お揃いで」
「帰ってたんだ、秋國」
部屋を出ると、ちょうど秋國がいた。
しかも別の部屋からもドアの開閉音、冬城だ。
「春宮、もういいの?」
「問題ない」
「……バケモノだね」
そっちから聞いてきたくせに、ドン引きした目で俺を看る冬城。
俺からすれば、解毒薬を持ってるお前の方が〝ドン引き〟だ。
「で、何があったんです?」