キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「で、これからどうする? このB地区にいる限りは未夢ちゃんは命を狙われるんだよね?」

「だからって総季家に戻っても地獄が待ってるだけですよ」

「……どっちにいたいかは、本人に託せば?」


答えの出ない悩みが、四人の輪の中でグルグル回っている。

冬城の言う通り、本人に任せるのが一番なのか……?


「にしても春宮クンも強がりだよね~」

「は?」


いきなり「クン」付けで俺を呼ぶ夏屋を見る。


「未夢ちゃんを〝人質で道具〟なんてさぁ。総季家に置いておくのが心配だから、目の届くB地区で守ってるってハッキリ言えばいいのに~」

「趣味が悪いですよね」

「……お前ら」


こめかみにぴきっと青筋が入るのが分かる。

責められるのは、なにも俺ばかりじゃないだろ。
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