キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「――っ。……悪い、ちょっと抜ける」
四人の輪を抜け、一人で部屋に戻ろうとする俺。
その時、唯一すれ違った冬城が、俺の顔を見てハッとした。
パシッ
「すごい顔してるけど、これからどこ行くの」
「どこって、自分の部屋」
「茶化さないで答えて春宮。どこへ行くの」
「……心配ない。ただの古巣だ」
それだけ言って、再び足を進める。
そんな俺の後ろ姿を見て、冬城が「ヘマしないようにね」と。
小さく呟いたのが聞こえた。
*凌生*end