キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「凌生くん、歩いて大丈夫なんですか? 毒は、」

「あー、薬飲んだから平気」

「薬……」


凌生くんの視線の先には、二本の小瓶。

一つは雷斗くんが持ってきてくれた小瓶。

あと一つは?


「怜さんがいらっしゃったんですか?」

「たまたま廊下で会ってな、その時もらった。この通り元気だし、もう薬は飲まなくていいんだとよ」

「よ、よかったぁ……っ」


安心したら力が抜けて、ヘナヘナとその場に座り込む。

するとお盆をテーブルに置いた凌生くんが「何やってんだよ」と笑いながら手を伸ばしてくれた。


「夏屋から聞いた。寝ずに看病してくれたんだって?」

「け、結果的に寝てしまいましたが……」

「でもクマついてるぞ。もう少し寝とけよ」


くしゃっと前髪を乱暴に撫でてくれる凌生くん。

その手の温かさに安心する。


「凌生くん、本当にもう大丈夫なんですね。よかった……っ」

「心配した?」

「あ、当たり前ですっ」
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